
壁に生えた、おなじみの“動く目”。

こちらをなかなか向いてくれない――作品も人を選ぶのだろうか。
イギリス人作家ライアン・ガンダー(1976年生れ)の、東京では初となる大規模な個展が開催中だ。
ドスンッ!

空から落っこちてきたかのような銀色の物体は、近代の重みが台(=地球か?)を壊したことを表しているのだとか。
おや、壁の穴から顔を出したネズミがなにやら独白している(声はガンダーの9歳の娘のもの)。

その内容は映画「独裁者」のあの演説を書き替えたもので、端的にいうと「ネット上ではなくリアルに生きよう」である。
こんな具合にウィットに富んだ91作品が、広い展示室のあちこちに鏤(ちりば)められた。
じつは本展、コロナで今年に繰越したもので、開催にいたるまでの道のりは長かった。
練りにねられた展示作品群。
開幕までの時間も封じ込められたように感じる空間には、独特のアウラさえ漂っている。






*上は他作品
【概要】
ライアン・ガンダー われらの時代のサイン
Ryan Gander: THE MARKERS OF OUR TIME
期間:7月16日[土]─ 9月19日[月・祝]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間 11:00 ─ 19:00(入場は18:30まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、8月7日[日](全館休館日)
入場料 一般1,400円[1,200円]/大・高生1,000円[800円]
中学生以下無料